妊婦は胃薬を飲んでも大丈夫?妊娠中の胃の痛みに効くおすすめの胃薬を紹介【薬剤師が解説】

薬

妊娠中はつわりやストレスなどの影響で、胃が痛くなることがあります。

妊娠中は赤ちゃんへの影響を考えるとできれば薬の服用は控えたいという方も多いと思いますが、あまりにも症状がひどいときは薬に頼りたくなることもあるでしょう。

ただし妊婦が飲める胃薬には限りがあるので、胃痛の原因や胃薬の種類をしっかり把握しておく必要があります。

妊娠週数ごとに考えられる胃痛の原因と、妊婦でも飲めるおすすめの胃薬を紹介します。

妊娠中は胃が痛くなる?

妊娠中はさまざまな要因で胃が痛くなることがあります。妊婦に現れる特有の胃の痛みについて解説します。

女性ホルモンの影響

ホルモンバランスの影響特に妊娠初期に現れるのが女性ホルモンの影響です。

女性ホルモンの一つである「プロゲステロン」は妊娠初期に分泌が多くなり、赤ちゃんのベッドである子宮内膜を厚くして赤ちゃんのための環境を整える役割があります。

しかし一方で胃腸の働きを低下させてしまうので、消化不良による胃の痛みを引き起こすと考えられているのです。

つわりの影響

つわり妊娠初期はつわりを経験する方も多いでしょう。

個人差はありますが、つわりの多くは妊娠が判明して間もなく始まり、妊娠12~16週くらいから落ち着いてきます。

つわりの症状は吐き気や嘔吐、偏食になる、倦怠感、眠気など人それぞれ。

特に嘔吐や偏食は胃への負担も大きいので、つわりがもとで胃の痛みが起こっている可能性があるとも言えるのです。

胃が圧迫されてる影響

後期つわり人によっては妊娠後期にもつわりのような症状が起こることがあり、これは妊娠初期に現れるつわりとは区別して俗に「後期つわり」と呼ばれています。

お腹の中の赤ちゃんが大きくなるにつれて、子宮の上部がみぞおちの辺りまで上がってきます。

それが原因で胃が圧迫され、胃の痛みや胃もたれなどの症状が現れることがあります。

逆流性食道炎

逆流性食道炎つわりと症状が似ているため、区別がつきにくいとも言われているのが逆流性食道炎。

逆流性食道炎は、胃液や胃液と混ざり合った食べ物が食道を逆流して起こる病気です。

胃液中の胃酸は強い酸性なので、食道の粘膜を荒らしてしまい胸やけや胃の痛みなどを感じます。

妊婦に逆流性食道炎が起こるのは、妊娠中期から妊娠後期と言われています。

妊娠中期はつわりが落ち着いてくる頃ですが、妊娠初期に吐きつわりが多いと吐くたびに胃液が上がり、つわりが治まった頃には逆流性食道炎になっていることがあります。

また妊娠後期はお腹が大きくなり胃が圧迫され、胃液が逆流するケースもあるのです。

ストレスの影響

ストレス妊娠中はさまざまなストレスを抱えてしまいますよね。

ストレスによって大きな影響を受けるのが、私たちの自律神経です。

自律神経は血管の収縮や拡張、臓器の動きなどをコントロールしているもので、緊張時に優位になる交感神経とリラックス時に優位になる副交感神経からなります。

正常な状態では両者のバランスが保たれていますが、ストレスがかかると交感神経が優位になり、副交感神経の活動が抑えられてしまうのです。

胃腸の活動は副交感神経の働きにより活発になるので、ストレスがかかって交感神経が優位な状態では胃腸の働きが弱くなり、胃の痛みが出ることがあります。

妊娠中はなぜ飲める薬が限られるのか

妊娠中に薬を飲むと、お腹の赤ちゃんへの影響が心配ですよね。

ではなぜ、妊娠中の薬の服用には制限があるのでしょうか。一般的に、妊娠中に薬の服用に特に注意が必要な時期は妊娠初期と妊娠後期です。

妊娠初期は心臓や中枢神経など、赤ちゃんにとって重要な器官が形成される時期です。

一部の薬は赤ちゃんの臓器や組織に奇形を起こす恐れ(催奇形性)が報告されているので、妊婦が飲める薬は安全性が確立されているものでなければなりません。

また妊娠後期は、早産にならないように配慮する必要があります。

例えば一部の便秘薬などは子宮を収縮させる働きがある薬は早産を引き起こす可能性があるので、そのような薬にも注意が必要です。

胃薬の種類

一口に胃薬といっても、胃薬はその作用によってさまざまな種類があります。

妊婦でも飲める胃薬かどうかはその成分や作用によって決まってきますので、ここでは胃薬の種類について見ていきましょう。

プロトンポンプ阻害薬

胃液中の胃酸は、タンパク質を変性させて食べ物の消化を助ける働きがあります。

通常、私たちの胃では消化を助ける胃酸と胃の粘膜を保護する胃粘液の分泌量が一定に保たれていますが、何らかの原因で胃酸が多い状態だと胃を荒らしてしまいます。

そのため胃酸過多のタイプの胃痛には胃酸の分泌を抑える薬が効果的ですが、その一つが胃酸を放出する「プロトンポンプ」をいう部位を阻害する薬です。

プロトンポンプ阻害薬は胃酸分泌を抑制する力が強く、医療用医薬品として使用されています。

H2ブロッカー

代表的な胃酸分泌抑制薬のもう一つが、H2ブロッカーと呼ばれるものです。

同じく胃酸の放出に関係している「H2受容体」という部位を阻害し、胃酸の分泌による胃痛を軽減する働きがあります。

H2ブロッカーはドラッグストアでも購入できるもので、「ガスター10」「アシノン」などがあります。

H2ブロッカーは医療用医薬品としても使われる薬ですが、添付文書では妊婦への使用は「治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ」とされており、妊婦には医師が必要とした場合に限り処方される薬と考えておいた方がよいでしょう。

胃粘膜保護薬

胃の粘膜を保護する胃粘液の分泌を促進させ、胃酸によるダメージを防ぐ働きのある薬です。

医療用医薬品としては「ムコスタ」「セルベックス」などがありますが、いずれも妊娠中の投与に関する安全性は確立しておらず、医師が必要と判断した場合に処方されます。

制酸剤

胃酸を中和して胃酸の働きを弱める作用があり、成分名としては「酸化マグネシウム」など便秘薬としても使われる成分があります。

市販薬でも制酸剤が配合された胃薬はありますが、制酸剤そのものは体にごく微量しか吸収されないので、妊婦が飲んでも赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています。

ただしマグネシウムなどのミネラルは人工透析を受けている方は摂取量に制限があるので、注意が必要です。

消化酵素

胃や腸での消化酵素が不足すると、食べ物の消化や分解がスムーズに進みません。

その結果、十分に消化されていない物質が腸内の悪玉菌のエサとなり、腸内環境が乱れてしまいます。

消化酵素もいくつか市販の胃薬に配合されていますが、消化酵素自体はもともと私たちの体にあるものなので、妊婦が飲んでも大きな心配はないとされています。

ただし医師への確認はしておいた方がよいでしょう。

鎮痙薬

生薬の一種である「ロートエキス」には、胃の痙攣や痛みを抑える作用があります。

しかしロートエキスは胎児や新生児の頻脈を起こす可能性が指摘されており、医療法医薬品であるロートエキスの添付文書では「妊婦や授乳婦への投与はしないことが望ましい」とされています。

市販の胃薬でも、ロートエキスが配合されているものがあります。

医療用医薬品と比較すると含有量は少ないですが、妊娠中の服用は必ず医師に確認するようにしてください。

そのほか注意が必要な胃薬

妊婦に特に注意が必要な胃薬に「ミソプロストール」(商品名:サイトテック)が挙げられます。

ミソプロストールは、解熱鎮痛剤であるNSAIDsというグループの薬を長期投与していて胃潰瘍などが現れた場合に服用する胃薬ですが、子宮を収縮させる作用があり流産したという報告もあることから、妊婦への投与は原則的に禁止となっています。

医師の処方が必要な医療用医薬品であり、なおかつ特定の薬を飲んで胃潰瘍になった場合だけ投与される薬なので覚えておく必要はありませんが、胃薬であってもこのように流産のリスクがある薬も存在するのです。

妊娠中でも胃薬を飲むことはできる?

胃薬の種類がわかったところで、妊娠中でも胃薬を飲むことができるのかという点を解説していきます。

基本的に自己判断はNG

胃薬にはさまざまな種類があります。

つらい胃の痛みでいち早く薬を飲みたいときもあるかとは思いますが、市販薬であっても妊婦への安全性が確立されていない薬など、避けた方がよいものもあります。

基本的に自己判断はせず、医師に相談するようにしてください。

受診時に医師から飲んでもよいと言われた胃薬であれば、常備しておき胃の痛みが現れたときに服用するとよいでしょう。

ただし妊娠中は体の状況も変化しています。

いつもの胃の痛みと思って薬を飲んでも治らないケースは、また別の症状が現れている可能性もあるので、無理はせず再度病院を受診するようにしましょう。

妊娠中でも飲める胃薬

制酸剤や消化酵素を含んでいる胃薬は、妊婦でも安心して飲める胃薬です。

ただし医師への確認はお忘れなく。状況に応じて医師が医療用医薬品である胃薬を処方する場合もあるので、基本的には医師の指導に従いましょう。

妊娠中は飲んではいけない胃薬

市販薬である胃薬の中でも、H2ブロッカーである「ガスター10」「アシノン」などは妊婦への安全性が確立していません。

またロートエキスを含む「スクラートA」「キャベジンコーワa(またはs)」「第一三共胃腸薬」なども、妊娠中はできれば避けた方がよいでしょう。

たくさんある胃薬の中からどれを選べばよいかわからない場合は、薬剤師または登録販売者に相談してください。

いつ病院を受診すべき?

忙しいと、病院に行くのは後回しにしてしまいがち。しかしお母さんが健康でないと赤ちゃんにも栄養が届きません。

つらい胃の痛みは我慢せず、病院を受診するようにしましょう。病院に行くタイミングとしては「胃の痛みを感じた初回」および「胃の痛みが治まらなくてつらいとき」がベストです。

初回受診時に飲んでもよい胃薬を確認しておけば、常備薬として置いておけば胃の痛みが出たときに対処できます。

また胃の痛みが治まらない場合は、医師に相談し適切な治療を受けた方がよいケースもあるでしょう。

おすすめの市販薬

ここからは妊婦でも医師に確認すれば服用できる、おすすめの市販薬を紹介します。

太田胃散

制酸剤が胃酸を中和し、胃痛や胸やけに効果があります。7種類の健胃生薬が胃の働きを改善し、妊娠中の弱った胃をサポートします。

粉末タイプなので、体内での吸収が早いことも特徴です。

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ビオフェルミン健胃消化薬錠

ビオフェルミンは妊婦でも安心して飲める整腸剤です。

腸内環境の乱れを整えるビオフェルミンに、健胃生薬や消化酵素が配合されています。粉薬は苦手、という方でも飲みやすい錠剤タイプ。

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新セルベール整胃

胃粘膜を保護する「テプレノン」を含んだ胃薬です。

テプレノンは胃粘膜保護薬である医療用医薬品「セルベックス」の有効成分でもあります。

胃の粘膜を保護し胃酸による攻撃を防ぐ働きがあります。ただし妊婦での安全性は確立されていないため、使用前には必ず医師に相談するようにしましょう。

エビオス錠

天然素材であるビール酵母をもとにした指定医薬部外品です。ビール酵母に含まれる栄養素が胃腸の働きをサポートするとともに、栄養補給としても効果的。食欲がないという方におすすめです。

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強力わかもと

「強力わかもと」に含まれる消化酵素は、麹菌から開発されたもの。消化不良による胃もたれを解消するとともに、豊富な栄養素がお母さんと赤ちゃんの健康をサポートします。

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まとめ

妊娠中はさまざまな原因で胃が痛くなることがあります。

妊娠中は心身ともにデリケートな時期なので、つらい胃の痛みは少しでも解消したいですよね。

妊婦は飲める薬が限られているので、薬を飲む場合はまずはかかりつけの医師に相談してください。医師から飲んでもいいと言われた胃薬であれば、必要に応じて服用するとよいでしょう。