妊婦は鉄分の接種が必須!貧血になりやすいって本当!?【薬剤師が解説】

「もともと貧血気味。そろそろ子供が欲しいけど妊娠して大丈夫?」

「妊娠前は貧血ではなかったのに、妊娠したら貧血になってしまった。」

など不安を持つ女性は多いですね。

妊娠中に貧血になる方のほとんどは鉄分不足による貧血とされています。

「貧血と診断される検査値ってなに?」

「非ヘム鉄とヘム鉄って違うの?」

などの疑問にお答えしたいと思います。

妊婦は鉄分不足になりがち?

妊娠中に貧血になる妊婦さんの95%が「鉄欠乏性貧血」と言われています。

そのため、妊婦検診では数回、血液検査を行い、貧血などの確認をします。

貧血の検査項目は「Hb(ヘモグロビン濃度)」と「Hct(ヘマトクリット値)」です。

妊娠中は

  • Hb(ヘモグロビン濃度):10g/dl未満(非妊娠時の女性では12g/dl未満)
  • Hct(ヘマトクリット値):30%未満(非妊娠時の女性では35%未満)

の場合、貧血と診断されます。

ちなみに、Hb(ヘモグロビン濃度)とは、血液1dl当たりの赤血球の色素成分であるヘモグロビンの重さのことで、Htc(ヘマトクリット値)とは、血液中の赤血球の容積の割合のことです。

貧血の症状

主な症状は、

  • 疲れやすい
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 動悸
  • 息切れ
  • 頭痛
  • 顔面蒼白
  • 耳鳴り

上記以外の症状が出ることもありますので、「いつもと違うな」「なんか変だな」と違和感がある場合は、医師に相談しましょう。

ゆっくりと貧血が進行すると、身体が貧血状態に慣れてしまい、自覚症状が出ないこともあります。

妊娠中は貧血になりやすい理由

妊娠中は体内の血液の量が急激に増えます。

赤ちゃんに栄養を送るため、たくさんの血液が必要になるからです。

妊娠中は水分である血漿成分が急激に増えるのに対し、赤血球は血漿成分ほど早く増やすことができません。

血液が薄い状態になるので「血液が薄い」=「ヘモグロビン濃度が薄い」となり貧血と診断されます。

妊娠中はどのくらい鉄分が必要?

非妊娠時の成人では1日10㎎とされていますが、妊娠後期や授乳期は2倍の20mgの鉄分が必要と言われています。

体内で吸収されやすい食品は、魚介類や赤みの肉、レバーなどの動物性食品に含まれるヘム鉄で、約15-20%が吸収されるといわれています。

ホウレンソウやヒジキなどの植物性食品は非ヘム鉄なので吸収率2-5%と低いです。

鉄分は酸性条件で溶けやすくなる性質がありますので、「ヘム鉄」「非ヘム鉄」どちらを摂取する場合でも、酢や梅干し、レモンなど酸っぱいものと食べると吸収率が上がります。

「貧血にならないように!!」と肉や魚ばかりを食べると、ビタミンや食物繊維などその他の栄養素が不足しがちになります。

偏った食事にならないように、さまざまな食材を組み合わせてバランスの良い食事を意識しましょう。

妊婦が貧血になると胎児に影響はある?

よほどの重症な貧血でなければ、おなかの赤ちゃんにはほとんど影響がないとされています。

しかし出産後の授乳でも鉄分は必要なので、なるべく貧血は改善させたほうが良いでしょう。

妊婦が鉄分を摂取するのにおすすめの食材・食べ物

女性

ヘム鉄、非ヘム鉄のどちらもビタミンCと一緒に食べると吸収率が高まると言われていますので、多く含まれる食品を紹介します。

ヘム鉄を多く含む食品(肉類、魚介類)

  • 豚レバー 6.5mg/50g
  • 牛ヒレ肉 2.0㎎/80g
  • 鶏卵  1.1mg/60g(M玉1個)
  • 鶏もも肉 0.7mg/80g
  • カキ  1.9mg/100g(5~7個)
  • あさり水煮 3.8mg/10g(大さじ1杯)
  • あさり生 1.0㎎/25g(味噌汁1杯分)
  • かつお 1.5mg/80g(たたき4切れ)
  • さんま 1.1mg/80g(1尾)

非ヘム鉄を多く含む食品(海藻類、豆類、野菜類)

  • がんもどき 2.9㎎/80g(1個)
  • 納豆 1.7㎎/50g(1パック)
  • 小松菜 1.4㎎/50g(小皿1杯分)
  • ほうれん草 1.0㎎/50g(小皿1杯分)
  • 切り干し大根 1.0㎎/10g(乾燥)
  • プルーン 1.0㎎/100g(乾燥10粒)
  • おから 0.4㎎/30g(大さじ6杯)

ビタミンCを多く含む食品(果物)

  • アセロラジュース 120㎎/100ml
  • レモン 100㎎/1個
  • オレンジ 78㎎/1個
  • 柿 70㎎/ 1/2個
  • キウイフルーツ 6.9㎎/1個
  • いちご 50㎎/5個
  • グレープフルーツ 38㎎/ 1/2個

<ビタミンCを多く含む食品(野菜)>

  • ブロッコリー 84㎎/70g(4-5個)
  • 黄パプリカ 68㎎/45g(1/4個)
  • かぼちゃ 52㎎/120g(小鉢1杯分)
  • 青ピーマン 30mg/40g(中1個)
  • 小松菜 19㎎/50g(小鉢1杯分)
  • 大根 11㎎/100g(おでんの大根1個分)
  • ゴーヤ 190㎎/250g(1本)

上記に紹介した食材以外にも、いろいろな食材に鉄分やビタミンCが含まれています。

「絶対これを食べなきゃいけない!!」と思わずに、

「納豆と卵は1日1個食べよう」

など楽しみながら鉄分を摂れるといいですね。

妊婦が鉄分摂取するのにおすすめのレシピ

上記の食材などを組み合わせて鉄分を効率よく摂取できるレシピを紹介します。

1、ゴーヤチャンプル

ビタミン豊富なゴーヤとヘム鉄を多く含む豚肉、卵を使ったレシピ。

妊娠中、授乳中にぴったりの料理です。

2、切り干し大根とアサリの炒め煮

非ヘム鉄を多く含む切り干し大根とヘム鉄を多く含むアサリの組み合わせ。

カロリーも抑えられ「あと1品欲しい」という時にぴったりです。

3、おから入りヒジキの炊き込みご飯

非ヘム鉄を多く含むおからとヒジキの炊き込みご飯。

ご飯を炊くときに、おからとヒジキを入れるだけのお手軽料理です。

その他にも、鉄分を多く含む食材はたくさんあります。

一度にたくさん食べることができない、青のりやヒジキ、干しエビにも多く含まれていますので、炒め物などに混ぜて少しずつ摂っていきましょう。

妊婦が鉄分摂取するのにおすすめのサプリメント

サプリメント

サプリメント

日本助産学会誌のエビデンスに基づくガイドライン―妊娠期・分娩期 2016によると

「正常妊婦において、貧血予防のための鉄剤サプリメント摂取は進められない」

と、されています。

理由としては、鉄剤には胃腸障害などの消化器症状の副作用があるため、正常妊婦において貧血と診断されない限りは、食事から摂取するほうが良いということです。

この件に関しては医師によって賛否両論ありますが、補助的にサプリメントを摂ることは構わないとされていることが多いです。

サプリメントは補助的に、基本は食事で摂取することを念頭において、妊娠中にオススメのサプリメントを紹介します。

  1. ママスタイル マタニティチャージ鉄プラス マタニティ用(妊娠中期・後期に) 60粒(30日分)入
  2. ピジョン サプリメント 葉酸カルシウムプラス 60粒入
  3. ディアナチュラスタイル 葉酸×鉄・カルシウム 120粒 (60日分)

どれもバランスよく鉄剤、葉酸、カルシウムが入っているので、妊娠中の栄養補助目的にぴったりのサプリメントです。

まとめ

妊娠中は「栄養は摂らないといけないけど、体重は増やしちゃいけない」というジレンマがありますよね。

体重管理が難しいと思いますので、食べ過ぎたなぁと思ったらいつもより多めに運動して、うまくバランスをとりましょう。

参考文献

  • 東京都病院経営本部HP
  • 厚生労働省HP
  • 日本食品成分表
  • 国立がん研究センターHP