妊娠の確率が高い日・低い日【正看護師が解説】

赤ちゃんは授かりものと昔から言われています。それでも、妊娠しやすい日と妊娠しにくい日はあります。

排卵日=1番妊娠しやすい日ではなく、ベストなタイミングでセックスしても絶対に妊娠するわけではありません。精子と卵子には寿命があるからです。

妊娠を望んでいる人も、望んでいない人も、大人として正しい知識を持ち、性生活を送ることは重要です。

今回は、妊娠の流れや妊娠する確率が高い日、また妊娠するためにできることなどをお話します。

妊娠の流れ

妊娠検査薬

卵子と精子の出会いは奇跡的だとよく表現されるとおり、映像でみると神秘的にも思えるほどです。

まずは妊娠するまでの女性の体について詳しく見ていきましょう。

1 妊娠の成立とは

女性の体は周期的に月経がおこります。通常の月経では、排卵します。

排卵された卵子が精子と出会い、1つの細胞になります。これが受精卵です。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、受精してから7日ほどかけ、ふかふかのベッドのような子宮の中にもぐりこみ根をはります。これを着床といいます。

この着床をもって、妊娠が成立したことになります。

2 月経のメカニズム

月経は、受精がおこらなかった時に、子宮をふかふかにしていた内膜が剥がれ落ち、出血することをいいます。

月経があるということは、次の受精の準備をするということになるのです。

月経は、卵巣と子宮内膜の周期的な変化により起こります。

これは、脳の下垂体から分泌されるホルモンにより支配されています。

月経後からの変化をみていきます。

月経の前半期 「卵胞成熟期」

  • 月経終了後、卵胞刺激ホルモン(FSH)が卵胞の成熟を促す
  • 成熟する卵胞から、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌される
  •  FSHとエストロゲンのはたらきによって、子宮内膜は新たに厚みを取り戻す

月経の後半期 「黄体形成期」

  •  卵胞が成熟すると、黄体形成ホルモン(LH)の分泌が急増し、排卵がおこる (排卵期)
  •  排卵後の卵胞は、LHの作用により黄体に変化し、黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌される
  •  プロゲステロンにより、子宮内膜は充血し肥厚する
  •  受精がおこらなければ、黄体はしだいに吸収され小さくなり、子宮内膜は剥離して出血(月経)がおこる

3 排卵について

女性の子宮の両横にはひとつずつ卵巣があります。

その卵巣では、卵胞と呼ばれる卵子の元が育てられています。

卵胞が成熟すると、月1回のペースで卵巣壁を破って外に飛び出します。

飛び出した卵子は、卵管の先にある卵管采に行き、精子を待ちます。

基本的には月に1回、片方ずつ排卵します。

4 受精

膣内に射精される精子の数は、通常数千から数億個です。

この大量数ある精子は、子宮内を進む過程で99%は死滅してしまいます。

卵管内に到達した時点では、200個程度になっています。

そして卵子にたどりつける精子は、1つだけです。

この卵子と精子は、核の融合が起き受精卵となり、細胞分裂を繰り返します。

5 着床

卵管采で受精した受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら、卵管の中を子宮へ向かっていきます。

子宮内にたどりついた受精卵は200~300細胞にまで分裂しています。

しばらく数日は子宮内に浮かんだ状態でいます。その後子宮の内膜にくっついて中へもぐりこみます。

母体であるお母さんの血管から、胎児の発育に必要な栄養や酸素を受け取れるようになります。

これが着床です。

着床が始まるのが、排卵から7日目になります。さらに着床完了までだいたい5日かかります。

排卵から着床完了までに2週間近くかかるといわれています。

妊娠する確率が高い日

結論からいうと、排卵2日前が1番確率が高いといえます。

排卵3日前から5日間、セックスの回数が多ければ多いだけ確率的には高くなるでしょう。

1 精子と卵子の寿命

1)精子

精子の寿命は約3日といわれています。射精から72時間経過すると受精する能力が失われます。

精子は射精後、5~6時間で女性の卵管までたどりつきます。そして48時間後から徐々に老化していきます。

2)卵子

卵子の寿命は12~24時間といわれています。そのうち、受精可能時間は約12時間と考えられています。

とても限られた時間しかないことがわかると思います。

排卵日は予測できても、排卵時間まで予測することはできません。

そのため、ベストなタイミングでセックスしても、必ず妊娠できるわけではないのです。

20代の健康なカップルが1回の周期で妊娠する確率は約30%だといわれています。この確率は年齢とともに下がっていきます。

卵子が受精できる貴重な12時間という期間を逃さないようにすることが大切になります。そのため、排卵される前から精子が待機している状態を作っておくのです。

精子も48時間後から老化が始まるので、排卵の2日前にセックスすることが1番理想だといえます。

ただ、排卵時間の予測は難しいこと、体調により排卵のタイミングはずれることがあります。

排卵日がずれることを考慮して、排卵予想日の3日前から5日間、できるだけセックスの回数を増やしたほうが妊娠する確率は高くなります。

2 排卵日の特定方法

排卵日を予測する方法をご紹介します。

1)基礎体温

基礎体温は、体の状態を知るためにとても役に立ちます。妊娠を望んでいない場合でも、今自分がどの周期にいるのか把握することで、自己管理しやすくなります。生活リズムも整いやすいため、妊娠しやすい体調管理にもつながります。

(1)基礎体温の測り方

「基礎体温」とは、起床直後のまったく動いていないときの体温のことをいいます。

毎日一定の時間に、舌の下に体温計をはさみ寝たまま測定します。細かなデータが必要なので、体温計は0.00度まで計れる婦人体温計が良いでしょう。

2~3ヶ月分測定し、グラフ表に記入します。体温計を購入する際に同封されていたり、パソコンからダウンロードすることもできます。今はアプリで管理できるものもあり手軽に始められます。

産婦人科へ受診するときは、基礎体温表をあらかじめつけて持参すると良いでしょう。

(2)基礎体温の特徴 「2相」

健康な女性はホルモンバランスにより、基礎体温の高い「高温期」と、低い「低温期」の2相性になります。

月経が始まり卵胞期に入ると、基礎体温は「低温期」になります。エストロゲンの分泌も高まり、卵胞が成熟します。

そして排卵期を経て、黄体形成期に入ります。プロゲステロンが分泌され、受精卵が着床しやすいように子宮内膜をふかふかにします。これは体温を上げる働きをするため、基礎体温は「高温期」になります。

妊娠しないとプロゲステロンの分泌は減るため、体温が下がり月経が起こります。

このような流れになるため、月経が始まってから排卵日までは「低温期」、排卵日以降は「高温期」の2相に分かれるのです。

2)おりもの

おりものは、ホルモンの影響で量や状態が変化します。

排卵前のおりものは、一般的には透明で粘りがあります。

指で触ると、よく伸びます。日ごろから自分のおりものをチェックする習慣をつけておくと、排卵前の変化だけでなく性病などの異常にも気付きやすくなります。

3)排卵検査薬

排卵検査薬は、尿に含まれるホルモン量を調べ、排卵のタイミングを知る方法です。

排卵を引き起こす、黄体形成ホルモンの濃度を測定します。これは、排卵が起こる前に一気に上昇し、36~40時間以内に排卵が起こります。この濃度の変化を捉えて、排卵日を1日前に予測するのが排卵検査薬です。

使用方法は、尿をかけるだけなので手軽です。まずは基礎体温で排卵日の予測を立てて、検査薬を使用し再確認する形がいいでしょう。

排卵検査薬は、ドラッグストアやインターネット上で購入できます。費用は2000円前後です。

4)病院でエコーによる卵胞の大きさの計測

排卵予測日の2~3日前に病院へ受診し、エコーによる卵胞の大きさを計測する方法です。

エコー上、卵胞が20mmを超えると思われる日が排卵予測日になります。

排卵誘発を行っていない場合の検査は、病院により費用は自己負担となります。希望する場合は病院に確認しましょう。

妊娠しやすくするためにできること

1 女性ができること

1)体重コントロール

ダイエットによる痩せすぎや、太りすぎもホルモンバランスを崩す要因となります。

妊娠のためにダイエットしたい場合は、医師に相談しながら行うと良いでしょう。

2)禁煙

喫煙している人は、していない人と比べて、早産や流産の確率が20~30%高くなります。

妊娠を望むのであれば、禁煙しましょう。

3)休息、質の良い睡眠

ホルモンバランスを安定させるためには、休息や質の良い睡眠が大切です。睡眠がとれていないと、女性ホルモンの分泌が不規則になりがちです。日ごろから快適な休息がとれるように工夫しましょう。

4)ストレス管理

脳がストレスを過度に感じると、ホルモンバランスが崩れやすくなります。

ストレスを感じないようにすることは難しいですが、上手なストレス解消を行いましょう。

5)定期的な婦人科検診を受ける

市で無料で行える検診などを上手に活用しましょう。

月経不順や生理痛などはホルモンバランスの影響だけでなく、卵巣や子宮のトラブルもあります。症状がない場合もあるので、定期的な受診を心がけましょう。

6)ブライダル検診を受ける

ブライダル検診を行っている産婦人科があります。

採血によるホルモン値や風疹の抗体を調べることができます。また性感染症の有無を調べたり、エコーによる子宮の検査などさまざまな方法があります。

2 男性ができること

1)禁煙

男性の喫煙は、精子に悪影響があります。精子濃度が低いなどのリスクがあるため、禁煙が望ましいでしょう。

2)適度な飲酒

多量な飲酒は精子の質を低下させるといわれています。適度な飲酒を心がけましょう。

3)禁欲しない

毎日射精すると精液が薄くなる、禁欲したほうが妊娠しやすくなるのでは?と考える人もいると思います。

これは間違いです。毎日精巣では新しい精子が作られています。ためすぎると、精子の質や動きが悪くなり、かえって妊娠しにくくなります。週に1回は射精するなど、できるだけ新鮮で活発な精子を作る習慣をつけましょう。

4)ブライダル検診を受ける

ブライダル健診は女性のためだけにあるものではありません。

パートナーとして、一緒に受診することが望ましいです。

年齢による妊娠の確率

健康であっても、年齢が上がるにつれ卵巣機能の低下は起こります。卵子の老化により、自然妊娠の確率が下がります。

(年齢別自然妊娠率)

  • 20代前半   : 30%
  • 25~30代前半 : 25~30%
  • 30代後半   : 18%
  • 40代前半   : 5%
  • 40代後半   : 1%

まとめ

排卵日にタイミングを合わせてセックスをする、タイミング法は思わぬ落とし穴もあります。

「その日にしなければならない」というのは、男性の方がプレッシャーを感じやすく、ストレスになることもあります。

普段から夫婦が仲良くコミュニケーションを図り、そもそものセックス回数が多いほど妊娠する確率は高くなるという研究結果もあります。一緒に妊娠しやすい生活習慣を送れると良いですね。

それでも、なかなか授からないと悩んでしまう時は、産婦人科医に相談してみましょう。