妊娠初期の腹痛はどうすればいい?原因や対策を紹介【看護師が解説】

妊娠初期

妊娠初期はホルモンバランスが変化し、さまざまな症状が起こります。

その中でも腹痛は妊娠初期によく起こる症状ですが、生理的なものと、トラブルのサインとして現れる危険なものがあります。

しかし、妊娠初期に腹痛が起こると、流産の兆候ではないかと不安に感じる方も多いですよね。

今回はそんな不安を持っている方のために、妊娠初期に起こる腹痛の原因や特徴、生理的な症状なのか、受診すべき危険な症状なのかを見分ける方法についても解説します。

妊娠検査薬

妊娠初期の症状はいつから?妊娠初期に気をつけることは何?【看護師が解説】

2019年3月19日

妊娠初期の腹痛

まずは、妊娠初期に起こる生理的な腹痛の原因や痛みの特徴、対処方法などについてご説明します。

妊娠初期の腹痛(1) ホルモンバランスの変化

妊娠に伴って分泌されるプロゲステロンは、腸の蠕動運動を弱めたり、消化管の筋肉を弛緩させる働きがあります。

また、プロゲステロンは体に水分を溜め込む働きもあるため、腸内の水分量が吸収されて、便が硬くなります。

このことから、妊娠初期は便秘や腹部膨満感などの消化器系の不調が起こりやすくなります。

痛くなる時期

妊娠するとホルモンバランスが劇的に変わるため、早い方だと着床後早期からお腹に違和感を覚える方もいるようです。

妊娠週数がすすむと、プロゲステロンの分泌量が徐々に増えるため、便秘に悩む方が増えると言われています。

腹痛の場所や痛くなり方

ホルモンの影響による腹痛は、便秘や下痢などの胃腸の不調として現れます。

痛みの感じ方は、便秘による腹部膨満感や、下腹部が張っているような感覚と表現されることが多いです。

また、逆にホルモンの影響で下痢気味になる方もいるため、お腹を下したような痛みとして感じることもあります。

対処方法

妊娠中は市販の便秘薬を使えないことが多いため、できるだけ薬に頼らず、食事や運動などで対処しましょう。

食物繊維や水分を意識的にとり、適度な運動をすると効果的です。

しかし、便秘を我慢しすぎると、腸が子宮を圧迫して子宮が収縮する原因にもつながります。

症状がひどい場合は、我慢せずに医師に相談し、必要に応じて便秘薬を処方してもらうと良いでしょう。

妊娠初期の腹痛(2) 子宮が大きくなる

妊娠してすぐの子宮は鶏の卵ぐらいの大きさですが、妊娠3ヶ月頃には大人の握りこぶしほどになります。

このように、妊娠に伴い子宮が徐々に大きくなるため、子宮の筋肉が伸びるときに痛みを感じることがあります。

また、子宮が大きくなると隣り合っている腸が圧迫されるため、腹部膨満感が出ることもあります。

さらに、子宮の大きさだけではなく血流量も増えるため、血流の増加が原因でお腹に痛みを感じる方もいるようです。

痛くなる時期

子宮が大きくなるときの痛みは、安静時よりも動いている時に感じやすいと言われています。

特に、体をひねったり、立ち上がったりするときに起こりやすいです。

腹痛の場所や痛くなり方

下腹部やお腹全体の痛みとして感じることが多いです。

お腹全体が引っ張られるような腹痛、生理痛に似た腹痛、きゅっとした軽い腹痛などと表現されます。

対処方法

動くと痛みがひどくなることが多いため、無理のない体勢や動作を心がけましょう。

また、重いものを持つなどお腹に力がかかることは控えるようにしましょう。

妊娠初期の腹痛(3) 子宮周りの靱帯が引っ張られる

子宮が大きくなると、子宮を支える靭帯も一緒に引っ張られるため、腹痛が起こる場合もあります。

痛くなる時期

子宮が大きくなる時の痛みと同様、安静時よりも動いている時に痛みを感じやすくなります。

また、日によって痛みに波があることも多く、全く痛みがない日もあれば、痛みがひどい時もあるようです。

腹痛の場所や痛くなり方

子宮周辺の靱帯が伸びる時の痛みは、鼠径部や脇腹、下腹部の痛みとして感じることが多いです。

お腹の片側だけがチクチクする痛み、お腹の内側から引っ張られるような痛みと表現されることが多いです。

それ以外にも、ひきつれるような痛み、鼠径部がキュっと引っ張られるような痛みとも言われています。

対処方法

痛みを感じたら、横になって休みましょう。

無理して動くと痛みがひどくなることもあるので、腹痛がある時はできるだけゆっくり過ごしましょう。

腹痛以外の症状

妊娠初期の生理的な腹痛は、腹痛以外の症状がなく、休むと痛みがおさまることがほとんどです。

注意しないといけない腹痛とは?

妊娠初期の腹痛には、注意すべき危険な症状もあります。

妊娠初期に注意すべき腹痛には何があるのか、原因や痛みの特徴、対処方法などについてご説明します。

注意すべき腹痛の原因①流産兆候の可能性

妊娠が22週未満で終了することを「流産」と呼び、妊娠初期には流産が原因で腹痛が起こることもあります。

妊娠初期の流産は、3つに分類されます。

  1. 進行流産:既に子宮内容物が外に流れ出てきていて、流産が進行していること
  2. 稽留流産:気付かない間に子宮内で胎児の心拍が止まっていること
  3. 切迫流産:まだ流産には至っていないが、流産の危険性が高い状態

稽留流産は腹痛がなく、気付かないうちに進行していることが多いですが、進行流産や切迫流産は腹痛を伴います。

痛くなる時期

流産は、妊娠12週未満に起こる「初期流産」と、12週以降に起こる「後期流産」に分けられます。

初期流産が80%を占めていますが、どの週数でも流産が起こる可能性はあります。

腹痛の場所や痛くなり方

流産による腹痛は、生理痛のように下腹部が痛くなることが多いです。

締めつけられるような強い腹痛に加えて、腰痛を感じる方もいます。

特に、進行流産では子宮内容物が剥がれ落ちてくるため激しい腹痛を伴い、「陣痛のような痛み」と表現されることもあります。

流産に至っていない切迫流産の場合は、進行流産に比べて痛みは軽いことが多いです。

対処方法

動くと子宮の収縮が起こりやすくなるため、腹痛を感じたら横になって休みましょう。

しかし、休んでも痛みがおさまらない場合や、動けないほどの痛みがある場合は、流産が進行している可能性が高いです。

流産の兆候に早く気が付き、適切な治療を受ければ妊娠を継続できることもあるので、気になることがあればすぐにかかりつけの病院に連絡しましょう。

腹痛以外の症状

腹痛以外に出血や基礎体温の低下、つわりや妊娠初期症状が消失した場合は、流産の可能性がより高いといえるでしょう。

流産の出血は、生理に似た茶褐色や鮮血の不正出血ですが、通常の生理よりも出血量が多く、出血が長く続きます。

また、血の塊やゼリー状の白い塊が一緒に出てくることもあります。

注意すべき腹痛の原因②子宮外妊娠の可能性

受精卵が子宮内膜以外の場所に着床することを「子宮外妊娠」と呼びます。

この子宮外妊娠が原因で、腹痛が起こることもあります。

子宮外妊娠では、卵管内の着床が98%を占めていますが、まれに卵巣や子宮頸管に着床することもあります。

突然の激しい腹痛に襲われて、初めて子宮外妊娠に気付くケースもあるようです。

痛くなる時期

妊娠に伴い胎児が成長すると、着床している卵管が圧迫されて痛みを感じます。

しかし、妊娠6週頃までは胎児が小さいため、痛みがない場合も多いです。

妊娠7~8週頃になると卵管の大きさ以上に胎児が成長してしまうので、痛みを生じるようになります。

卵管は広がることができないため、妊娠7〜8週目頃になると胎児の成長に耐えられなくなり、破裂してしまこともあります。

腹痛の場所や痛くなり方

卵管破裂に至るまで腹痛がないことも多いですが、子宮外妊娠の初期症状は鼠径部や脇腹の痛みとして現れることがあります。

そして、胎児が成長するにつれて腹痛がどんどん強くなっていきます。

対処方法

妊娠週数が進んで卵管破裂が起こると大変なので、子宮外妊娠は早期発見が重要です。

そのためにも、できるだけ早めに妊娠に気付くことが大切です。

妊娠6週頃までに子宮内に胎嚢が確認できなければ、子宮外妊娠と診断できることが多いです。

妊娠検査薬で陽性を確認したら、妊娠6週頃までには産婦人科を受診しましょう。

腹痛以外の症状

子宮外妊娠の症状が進むと、腹痛以外にひどい出血が起こります。

もし腹腔内で大量の出血が起こると、血液がお腹に溜まり、ショック状態になることもあります。

注意すべき腹痛の原因③婦人科系の疾患

子宮筋腫や卵巣嚢腫などの婦人科系の病気が原因で、腹痛が起こることもあります。

特に子宮筋腫は、妊婦さんの約2~5%に合併しているとも言われていて、婦人科系の疾患では一番多い症状です。

子宮筋腫が小さければ自覚症状がほとんどないため、妊娠を機に初めてわかる場合が多いです。

子宮筋腫は胎児の成長に影響をきたさないことが多いですが、出産に影響する可能性が高いため、注意深く観察する必要があります。

痛くなる時期

妊娠中はホルモンの影響で子宮血流が増加するため、筋腫が増大したり変性する場合もあります。

そのため、妊娠週数が進むにつれて圧迫感や痛みを感じることもあります。

腹痛の場所や痛くなり方

筋腫ができる場所や大きさにもよりますが、筋腫のある部分に痛みを生じたり、お腹が張りやすくなることがあります。

筋腫が大きい場合は、より痛みを感じやすくなります。

また、筋腫の場所と胎児・胎盤の位置関係次第では、筋腫が圧迫されて痛みが強くなることもあります。

対処方法

動くと子宮が収縮して筋腫が圧迫されて痛みがひどくなることがあるため、筋腫を合併している場合は無理して動かないことが大切です。

痛みの程度に応じて、必要時は鎮痛剤が処方されることもあります。

腹痛以外の症状

子宮筋腫を合併しているとお腹が張りやすくなるので、無理のない範囲で動くようにしましょう。

お腹が頻繁に張る場合には、状況に応じて張り止めが処方されることもあります。

生理的な腹痛と危険な腹痛の見分け方

腹痛があっても横になって安静にして、痛みが引いたり軽くなればそれほど心配はないことが多いです。

しかし、以下のような症状がある時は、生理的な痛みではなくトラブルのサインのことが多いので、受診を検討しましょう。

  • 出血がある
  • 痛み止めを飲むほどの強い痛みがある
  • 休んでも痛みがおさまらない

病院を受診するときに必要な情報

もし受診する時には、まずは電話でかかりつけの病院に状況を説明し、受診が必要かどうかの判断を仰いでみると良いでしょう。

その際に伝えると良いことは、以下の通りです。

  • 出血はいつからあるのか、何回あったか
  • 出血はどのくらいの量か
  • 出血の色はどうか
  • 出血の性状はどうか、塊が出ていないか
  • お腹の痛みはあるか
  • お腹の痛みがある場合は、いつからあるのか、どれぐらいの痛みなのか

落ち着いて話せるように、あらかじめメモを用意しておくと安心です。

また、電話をとったスタッフがカルテから情報を調べることも多いため、手元に診察券を置いておきましょう。

まとめ

特に妊娠初期は体調が不安定な時期なので、少しの症状でも不安に感じてしまいますよね。

しかし、腹痛は妊娠初期によく起こる症状なので、あまり神経質にならず、「ゆっくり過ごして」という赤ちゃんからのメッセージだと思うようにしましょう。

もし不安なことがあれば、かかりつけの病院に一度電話で相談してみると安心です。

ママと赤ちゃんの体のためにも、妊娠中は無理をせずゆったりした気持ちで過ごしましょう。