子供のアトピーって治る?【薬剤師が解説】

子供がアトピーになると、完治するの?小さい子供にステロイドを使って平気なの?など色んな心配や疑問が出てくると思います。

いろいろな疑問を解決するために、アトピーの原因や薬を使用する上でのポイント、日常生活で注意することなどを紹介します。

アトピーとは

正式名称はアトピー性皮膚炎と呼びます。

良くなったり、悪くなったりを繰り返し、かゆみがある湿疹ができる病気で、いわゆるアトピー体質である方が多いです。

アトピーの特徴として、左右対称に湿疹ができ、年齢によって湿疹ができる場所が変わってきます。

多くの場合、1歳未満から6歳までに発症し15歳ぐらいまでに治っていきますが、15歳以降もよくなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。

アトピーになりやすい体質とは?

  1. アトピー性皮膚炎
  2. 気管支喘息
  3. アレルギー性鼻炎
  4. 結膜炎

家族または本人に、①~④のいずれか、もしくは複数の要因がある人はアトピーになりやすいとされています。

アトピーになりやすいかは遺伝的な要素が強いですが、必ずなるとは限りません。

体質やライフスタイル、皮膚が荒れやすいなどさまざまな要因が重なることで発症します。

アトピーの症状は?

アトピーの皮疹は身体のどこにでもできます。

特徴として、皮膚は乾燥傾向の方が多く、摩擦などの刺激を受けやすい場所に左右対称にできやすいです。

年齢によって症状が出る場所が変わってきますので、年齢別に症状を紹介します。

乳児(2歳未満)

頬おでこ、頭などに乾燥や赤みが出てきます。
赤みだけでなくポコポコした湿疹ができ始めると、かゆみが出てくることが多いです。
掻いてしまうと皮膚が傷つき、ジュクジュクした皮疹となります。
同時に耳や口の周りなど顔全体に広がり、だんだん首や肘、膝、脇の下などに広がります。

幼児・学童期(2~12歳)

顔の症状は落ち着き、首や脇の下、肘、膝、手首、足首に皮疹が出ますが、顔やお腹などにも症状が出ることもあります。

かゆみが強いことで掻いてしまうと、さらに症状は悪化し、ひどい場合は苔癬化(たいせんか)といい皮膚が硬くなってしまうこともあります。

思春期・成人期(13歳以上)

思春期以降は顔や首、胸、背中などの上半身に皮疹が出ます。

アトピーはどうしてかゆくなるの?どうして治りにくいの?

アトピーを起こしている皮膚からかゆみを引き起こす物質が出ます。

それらの物質が神経に作用し、かゆみが起こります。

かゆみが我慢できず掻いてしまいます。

皮膚炎が悪化します。

かゆみを引き起こす物質が出ます。

と悪循環となり、どんどん悪化していきます。

掻き壊すほど、かゆみも増していくため、寝ている間など無意識に掻いてしまうこともあります。

このかゆみを抑えることが悪化を止めるためには重要になってきます。

アトピーの子供は肌が敏感?

慢性的に炎症が起こっている人は皮膚の感覚過敏が起こっている傾向にあります。

乾燥や炎症によって皮膚の神経が皮膚表面まで伸びてきてしまうことが1つの原因とされています。

また、アトピー性皮膚炎では痛みや熱による刺激でもかゆみを感じることがあります。

皮膚の刺激だけでなく、かゆみをイメージする映像などの視覚的情報や皮膚を掻く音などの聴覚的情報により、かゆくなることもあるようです。

治療の目標

最終目標は症状がないか、あっても軽微で日常生活に支障がなく薬を使う必要がほとんどない状態を保てることです。

このレベルではない場合でも、軽微もしくは軽度で、日常生活に支障が出るほどの悪化が起こらない状態を保つことを目標とします。

治療方法

  1. 薬物療法
  2. 塗り薬の使用
  3. スキンケア
  4. 悪化する原因を見つけて対策を考える

ことです。

アトピー性皮膚炎は遺伝的要素があるため、風邪や骨折のように完全に完治させることはできません。

しかし、正しいケアをすることで発症、悪化を防ぐことは可能であり、それを目標としていきます。

薬物療法

強いかゆみにより掻き壊すことでさらに悪化していくので、このかゆみを抑えることがとても重要になります。

乾燥のみで赤みなどの炎症が起こっていない場合は、ステロイドを含まない塗り薬を使い、炎症が起こっている場合はステロイドを使用します。

症状や部位によってステロイドの強さを調節していきますので、医師の診断により処方される薬が変わります。

また、かゆみを抑えるための飲み薬を処方されることもあります。

ステロイド外用薬の使用法

十分な量を使用する必要があります。

皮膚の表面はガサガサしているため、中途半端に少ない量を使用するとまんべんなく塗ることができず、治りにくくなることがあります。

結果的に、症状の改善が遅れ、長期間ステロイドを使用することになってしまうので、決められた量、回数、期間を守り塗ることが大切です。

医師によっては「たっぷり塗ってください」と指示する場合もありますので、ドンと使って一気に治すイメージで使用しましょう。

ステロイドを使用する量

一般的に、人差し指の指先から第一関節までチューブから出した量が手のひら2枚分の量とされています。

ただし、軟膏の種類や皮膚の状態、軟膏チューブの口の大きさによって塗る量は変わってきます。

処方された場合はどのくらいの量を塗るのか医師、または薬剤師に確認してください。

ステロイドの副作用

局所的な副作用については「長い間使用」することによっておこる重篤な副作用はないと言われています。

多くの場合は一時的なもので、使用回数を減らすなどで軽減するといわれています。

副作用の回避はドンと使って一気に治し、ステロイドの使用期間を短くすることに限ります。

「ステロイドを使用すると痕が黒くなる?」と質問を受けることがあります。

これは炎症後の色素沈着によるものでステロイドの副作用ではありません。

日焼けと同じようなものですので、だんだん薄くなっていきます。

スキンケア

アトピーでは、皮膚のバリア機能が低く、保湿成分が少なくなっているため、特徴的なドライスキンになっています。

そのため、いろいろな刺激でかゆみを感じやすくい状態になっています。

また荒れた皮膚の隙間からさまざまなアレルゲンが入りやすくなっているので、皮膚炎を起こしやすい状態になっていると考えられています。

保湿は必ず行いましょう

保湿剤は皮膚の潤いを保ち乾燥を防ぐことで、バリア機能を回復・維持することができます。

結果、アレルゲンが皮膚から侵入できないため、皮膚炎の再発を防ぎ、かゆみを抑えます。

症状がある部分以外も乾燥していることが多いので、保湿剤は必ず全身に使用するようにしましょう。

出生直後の赤ちゃんにも、すぐにスキンケアを始めることをおすすめします。

ママやパパがアトピーの場合、子供もアトピーになる可能性がありますので、なるべく早くから保湿剤を使用し、アトピーの発症を防ぎましょう。

保湿剤を塗るタイミング

1回は必ずお風呂上りに使用しましょう。

入浴直後がもっとも皮膚が潤っている状態ですので、そこに保湿剤を塗ることで皮膚からの水分蒸発を防ぎ乾燥を最小限にすることができます。

軽くシャワーを浴びた後なども保湿剤を使用することをお勧めします。

入浴やシャワーの注意点

アトピーでは皮膚の表面が荒れているため、皮脂汚れや塗り薬、汗などによって、いろいろな細菌が付きやすく、症状が悪化する原因になります。

そのため、皮膚を清潔に保つために、お風呂に入ったり、シャワーを浴びたりすることはとても大切です。

入浴やシャワーでのお湯の温度は38~40℃がちょうど良い温度とされています。

42℃以上では刺激となり、かゆみが起こることがあるようです。

石鹸は使用する?しない?

これに関しては賛否両論あります。

石鹸で洗いすぎて乾燥したり、石鹸の成分が刺激となり症状が悪化したりすることもあれば、石鹸を使わなかったため清潔に保てずに悪化することもあるようです。

皮脂は30℃程度のお湯で流すことができるとされています。

乾燥が強い部分や石鹸による刺激がある場合、乾燥しやすい季節などの場合は、石鹸の使用を最小限にしましょう。

逆に、脂性肌や軟膏を毎日塗る部分、皮膚感染症を繰り返す部分は、積極的に石鹸をしようして、清潔に保ちましょう。

使用する石鹸の種類は固形、液体などで違いはないので、使いやすさで選んでかまいません。

低刺激、低アレルギーなどの石鹸を使用すると安心ですね。

重要なことは

  1. 刺激がなく使用感が良い石鹸を選ぶ。
  2. 洗った後に乾燥が強いものは避ける。
  3. よく泡立て刺激が少ない方法(柔らかいボディタオルを使用するなど)で皮膚の汚れを落とす。
  4. 石鹸が皮膚に残らないように十分にすすぐ。

ことです。

皮膚が傷つかず、乾燥を防ぎ、なるべく刺激を受けないように気を付けましょう。

悪化する原因を見つけて対策

刺激が原因の場合

唾液、汗、髪の毛、服との摩擦など、日常生活で起こる刺激で悪化することがあります。

唾液や汗によるものであれば、濡れたガーゼなどでやさしくふき取りましょう。

服が原因であれば、刺激の少ないものを選びます。

髪の毛は切ったり束ねたりする必要がありますね。

食べ物アレルギーが原因の場合

特に乳児では食物アレルギーによってアトピー性皮膚炎になっていることがあります。

乳幼児にとって栄養は成長・発育にとても大切ですので、専門の医師と相談して食材を特定してからアレルギー除去を行いましょう。

卵や小麦など考えられるものは無数にありますので、むやみに除去することはお勧めできません。

他にも原因となる可能性があるものとして、花粉、ダニ、ハウスダスト、ペットの毛、細菌など上げればきりがありません。

普段の生活で、どんな時に良くなるのか、悪化するのかを観察し、医師と原因物質を特定しましょう。

まとめ

アトピー性皮膚炎にならないためには、まずは保湿し皮膚を乾燥から守ることです。

もしなってしまったら、掻き壊さないようにかゆみを抑え、悪化を防ぎながら原因をみつけて、再発予防をしましょう。

参考文献: 日本皮膚科学会ガイドライン アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018