母乳はいつから?妊娠中からできることはある?【正看護師が解説】

0ヶ月男の子授乳

赤ちゃんが誕生した瞬間から、「授乳」が始まります。

赤ちゃんが産まれたからといって、すぐに母乳は出るものでしょうか?

母乳の出方や出る時期、そして母乳に対する考え方含め、個人差が大きいものです。

妊娠中は、乳腺が発達してくる程度で、あまり実感のわかない話かもしれません。

ただ、出産後からすぐに育児は始まります。

その中でも母乳の悩みは大きく、悪戦苦闘しているママがたくさんいることも事実です。

今回は、母乳の出るしくみをおさらいし、妊娠中から準備できること、そして出産直後から母乳が起動に乗るまでに、やった方が良いことなどをお話します。

0ヶ月男の子授乳

授乳方法(授乳の仕方)

2018年4月3日

母乳が出るしくみ

思春期から妊娠中の準備期間

女性の乳房は、思春期の頃からホルモンの影響を受け、乳腺が発達し、胸がふくらみ始めます。

母乳を与えるための準備が始まったのです。

妊娠すると、さらにホルモンの働きが活発化して、一段と胸が大きくなります。

乳房を発達させるホルモンや、乳汁を作るホルモンが出ていますが、胎盤からは「まだ母乳はださなくていいよ」と指令が出ているので、母乳は出てきません。

妊娠中から母乳が出た!という人もいますが、それは分泌液の乳汁が出てきただけで母乳ではありません。

出産後からの変化「プロラクチン」

出産によって、胎盤が出てくると、「母乳をださなくてよい」という指令が出なくなるので、いよいよ本格的に母乳が出始めます。

母乳が出るスイッチを入れる役割は、赤ちゃんが乳頭に吸い付くことです。

乳頭に吸い付く刺激が、ママの脳に伝わり、おっぱいを作るホルモン「プロラクチン」が分泌されます。

そのプロラクチンの作用によって、乳腺の中の毛細血管にたくさんの血液が流れ、母乳を作り出します。

母乳を約10ml作り出すために、500mlの血液がママの乳房を通過するといわれています。

産後は母乳を作り出すためにも、こまめな水分摂取がとても大事になります。

オキシトシン

母乳を作るホルモンが、プロラクチンです。

もう1つ、同時にオキシトシンというホルモンも出ます。

オキシトシンは、乳房にたまった母乳を押し出す役割をしています。

母乳の出る仕組みは、この2つのホルモンが作用し、赤ちゃんが母乳を飲むことで繰り返されます。

たくさんのホルモンを作り出す引き金は、赤ちゃんがおっぱいに吸い付いて、乳頭を刺激することです。

出産後はなるべく早く、こまめに授乳することが大切です。

プロラクチンの作用

母乳を作る役目のプロラクチン、他にもいろいろな働きをしています。

プロラクチンは、母性を引き出すホルモンといわれています。

これは、母親の気持ちにさせて、子どもを守ろうとします。

また、授乳中のママをリラックスさせ、眠気を誘う作用もあります。

プロラクチンは、夜のほうがたくさん分泌されます。

夜中の授乳は、母乳の分泌を高めるためにも大切になります。

授乳中は、ママは夜何度か起きることになりますが、プロラクチンのおかげで目が覚めやすく、また授乳が終わった後はすぐに眠りにつけるという、すばらしい作用があります。

「オキシトシン」の作用

たまった母乳を押し出す役目の「オキシトシン」、こちらも他の作用があります。

「オキシトシン」は、産後の子宮の筋肉を収縮させて、子宮の回復を早める役割があります。

筆者の経験ですが、出産後、授乳を始めるととくに後陣痛( 産後、子宮が元に戻ろうと収縮するときに、陣痛のようにおなかが痛むこと)がありました。

これは、授乳中に「オキシトシン」がたくさん分泌されていることを感じる体験でした。

「オキシトシン」は、別名「愛情ホルモン」とも呼ばれます。

赤ちゃんのことがかわいくて、自然に深い愛情がわいてきます。

「プロラクチン」は赤ちゃんが乳頭に吸い付いた刺激で分泌されるのに対し、「オキシトシン」は、ママが赤ちゃんのことを思ったり、泣き声を聞いた時に分泌されるホルモンです。

これも筆者の体験談ですが、赤ちゃんの泣き声を聞いただけでおっぱいが出てきたり、シャワーを浴びている時に赤ちゃんのことが気になっただけで、おっぱいが出てくることがありました。

まさに、オキシトシンの作用によるものです。

このように産後は、ホルモンの絶妙な仕組みによって、ママが子育てに前向きに取り組めたり、愛情深く赤ちゃんに接することができるようになっています。

母乳が出る時期

母乳が出始める時期は、かなり個人差が大きいです。

大体、産後2日~5日で出始める人が多いですが、安定して出始めるにはもう少し時間がかかります。

これも個人差が大きく、産後1ヶ月~3ヶ月はかかるので、じっくり腰をすえて取り組むことが必要になります。

ついつい、入院中はとくに周りと比べてしまい、焦る気持ちにもなりますが、どんな人でも母乳は出るものなので根気良く続けていきましょう。

本当に母乳が出ない人は1%程度だといわれています。

また、母乳に対しての考え方にも個人差が大きくあります。

自分が通院している産院の考え方もあります。

自分がどのような授乳で育てられたのか、親から話しを聞いておくなど、知っておくこともよいでしょう。

自分が授乳に対して、どんな思いや考えがあるのか、出産前に一度パートナーや助産師などと話し合っておくことも大切です。

妊娠中からできること

授乳について考える

妊娠したら、母乳で育てたいと考えるママは多くいます。

現実は、母乳だけで育てられたという人は全体の4割ほどです。

おばあちゃん世代がミルクで育てた人が多かったり、共働き、核家族時代にあり、必要な時に手を差し伸べてくれる人がいないなど、さまざまな要因があります。

自分はどのような授乳がしたいのか、まずは自分の思いを知って、パートナーや産後協力してくれる人と共有しましょう。

また、自分が選んだ産院が、どのような授乳スタイルの考えであるのか知っておくことも大切です。

なるべく、自分の思いと一致していて、相談に親身になって応じてくれる医療スタッフと、妊娠中から関係作りをしておくことも、産後の良いスタートを切るために重要です。

乳房のケア

妊娠中は、乳房の発達に伴って、乳汁がもれ出たり、白いおっぱいの固まりのようなものが乳頭に付いていることがあります。

入浴時にきれいに洗っておきましょう。

また、大きくなっていく乳房に合わせて、ゆったり包み込んでくれるブラジャーを着けましょう。

乳頭が陥没している人は、ゆっくりつまみあげて外気にふれさせ清潔にします。

とくに、初産の人は妊婦外来で助産師指導を受けるまで自己ではやらないようにしましょう。

また、おなかが張ってくる時は中止しましょう。

陥没乳頭や扁平乳頭、または前回のお子さんの時に母乳育児ができなかった人などは、産院の助産師に相談し、指導をもらいましょう。

産院によって、勉強会を催していたり、母乳育児相談室などがあるので探してみましょう。

妊娠中の食事

妊娠、出産は食生活を見直す良いきっかけになります。

一般的に、日本人は昔から食されてきた和食中心の食事が、母乳のためにも良いといわれています。日本人の体質に合っているからです。

とくに妊娠中は、カルシウムと鉄分が不足しがちなので、意識して摂るようにしましょう。

家族の協力体制を整える

出産後からすぐに授乳が始まります。

とくに産後1ヶ月は、ママは赤ちゃんのお世話と授乳に専念できるよう、それ以外の家事は他の人にやってもらえるように体制を整えましょう。

身内に頼める人がいない場合は、民間の委託サービスや市町村の産後サポートシステムを活用しましょう。

ママが心から安心して休めるようにしておくことが、母乳育児にとっても大事です。

産後のママはホルモンバランスの急激な変化で、身内の何気ない一言に傷ついたりするものです。

赤ちゃんとママをそっとサポートしてくれる環境がとても大切になります。

出産してから行うこと

授乳を始める前にやること

  • 爪は短く切りましょう
  • 手洗いを行い、髪の毛が長い人は束ねましょう
  • 抱っこした時にママの姿勢が楽になるように、授乳枕などで工夫しましょう
  • 乳頭をやわらかくしましょう

乳頭を吸わせる前に、少し搾乳をして乳頭をやわらかくしておきます。

赤ちゃんが吸いやすくするためです。

赤ちゃんも初めてのことなので、うまくおっぱいをくわえることができず、浅吸いになったりします。初めは、助産師に乳頭マッサージをしてもらうとよいでしょう。

筆者は1人目の時によく母乳が出たために、2人目の時は自信がありました。

2人目の子の初めての授乳で、乳頭マッサージをせず飲ませたところ、ぱっくり乳頭が亀裂し、退院する時には乳頭全周が切れていました。

痛みながらの授乳はつらいものです。過信せず、しっかり準備をしてからスタートしましょう。

母乳生活のポイント

1.頻繁に母乳を飲ませましょう。

最低でも1日8回以上は飲ませます。赤ちゃんが飲む刺激で、母乳は作り出されるので、上手に頻回に飲ませることが母乳分泌を高めます。

最初のころは、ママも赤ちゃんも慣れるまで、時間がかかります。

小さな失敗をたくさんして、2人の息がぴったり合うようになるまでゆったりと長い息で取り組みましょう。

初産はとくに助産師が細かなサポートをしてくれるので、入院中にたくさん指導をもらうようにしましょう。

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2.夜も授乳しましょう。

夜中も赤ちゃんはおっぱいを欲しがります。

また夜のほうが、ホルモン分泌が盛んなので母乳も多く出ます。

3.時間を気にしないで飲ませましょう。

時間

慣れてくると、片方5分ずつなど2人のペースに合わせて大体の授乳時間も決まってくることがあります。

それも大体の目安で、赤ちゃんの成長やママの体調などで変化もします。

育児書や一般的な数値にとらわれすぎて、時間を気にしすぎないよう、ゆったりと赤ちゃんの様子を見ながら飲ませましょう。

4.水分補給と細かな休養を意識しましょう。

授乳の前後で水分を摂ると良いでしょう。

母乳は血液から作られています。ノンカフェインの水分と栄養のある食事を心がけましょう。

また赤ちゃんが寝ている時は、ママも横になり睡眠や休息をとりましょう。

5.リラックスして過ごしましょう。

緊張していると、血液の循環が悪くなり、母乳の分泌も減ってしまいます。

産後は身軽になり、動きたくなる気持ちもわかりますが、のんびりゆったり過ごすことが、母乳が良く出ることにつながります。

母乳育児が起動にのるまで、せめて産後1ヶ月は、赤ちゃんのお世話と授乳に専念すると決めて、周りに頼る生活を心がけましょう。

6.適度な運動をしましょう。

散歩

基本は休む時期ですが、ストレッチなど体が気持ちよいと感じる程度の運動は取り入れましょう。

血液循環が良くなり、母乳の出も良くなるでしょう。

7.相談できる窓口を見つけておきましょう。

おっぱいに異変を感じたら、早めに産院などに相談しましょう。

外来は予約制であることが多く、受診料も産院によってさまざまです。

トラブルが起きる前に、入院中などに情報収集しておきましょう。

陥没・扁平乳頭、よく乳房が張る、乳腺炎を起こしやすいなど、人それぞれケアを取り入れながら授乳した方が良い人もいます。

入院中に助産師の指導をもらい、自分に合ったケア方法を取り入れましょう。

まとめ

母乳の出方やタイミングには、ママの数だけ違いがあります。

赤ちゃんとママが慣れるまでは大変に思うこともありますが、地道な毎日の積み重ねが大事になります。

一番は、ママが楽で楽しいと感じる育児生活を送ることなので、周りのサポートをたくさん得て、母乳が出て軌道に乗るまでの時期を上手に過ごしましょう。