乳腺炎とは?症状や原因について【医師が解説】

3ヶ月女の子授乳

今回は授乳期のお子さんをお持ちのお母さんを悩ませる乳腺炎に関して解説させていただきます。

乳腺炎はその多くが授乳期の乳腺に発生した炎症のことを指しますが、その症状はさまざまでただのしこりやおっぱいに熱を持つ程度の軽い症状から全身の発熱につながる重たく辛い感染症までいくつもあります。

これを解消するために授乳の仕方や乳房マッサージや食事療法など日々自分でできることは様々な方法がありますが、その中でもどのような場合に病院へ受診した方が良いのかなどを含めてなるべくわかりやすく解説して参りたいと思います。

乳腺炎とは

出産後に分泌が始まる母乳(乳汁)がきちんと排泄できずに乳腺内にとどまり炎症は発生した状態のことをいいます。

また出産に限らず、乳首や乳輪に傷ができた時その傷口から細菌感染を起こすと乳腺に感染や炎症が及んで乳腺炎になることもあります。

乳腺炎には主に「急性うっ滞性乳腺炎」と急性化膿性乳腺炎」があり、どちらも乳房が腫れて痛みがでます。

急性うっ滞性乳腺炎が主に授乳期に起こる母乳による乳腺炎で、急性化膿性乳腺炎が時期を問わずに乳首の傷や不衛生な状態からでも発生する乳腺炎を指します。

乳腺炎の初期症状

  • 授乳中に胸にチクチクとした痛みがある。
  • 乳房に部分的に固くなったしこりができている。
  • 乳房が熱をもつ。
  • 乳頭に白いものが詰まっている。

母乳の通り道である乳腺や乳管が詰まり始めると乳管の内部の圧力が高くなりチクチクとした軽い痛みを自覚するようになります。

そして乳房内にたまった母乳が乳腺組織を圧迫して炎症を起こしてくると組織が腫れて固くなります。

つまりしこりのことです。炎症も起こしてきているため本人には乳房が熱を帯びてきているような感覚となります。

さらに乳首のところに白いぶつぶつのようなもの(白斑)が付着してくるとこれが乳腺を出口からふさぐ形になるためさらに内部の炎症はひどくなっていきます。

このように乳腺炎は段階をふんで徐々に悪化していくためおっぱいの熱感や白斑がみられたら乳腺炎になりかけている状態といえます。

乳腺炎がひどくなってしまうと

0ヶ月赤ちゃん授乳

先にも述べたように乳腺炎には急性うっ滞性乳腺炎と急性化膿性乳腺炎があります。

急性うっ滞性乳腺炎は母乳が乳腺内に溜まり腫れや痛み、乳房の熱感ができることで発症しますがこれにさらにばい菌が感染して悪化してしまった状態を急性化膿性乳腺炎と言います。

原因

乳腺そのものにばい菌がすみつき増殖することで非常に激しい炎症が起こります。

ほとんどが生後1カ月以降の乳児に授乳中のお母さんに発症します。

特に乳歯が生え始めたころに多く、乳歯によってできる乳首のわずかな傷から感染します。

原因となる菌の多くがブドウ球菌と言われる誰にでもいる皮膚のばい菌であることが多いです。

どんな症状か?

急性化膿性乳腺炎は感染症の中でもかなり炎症の激しい部類に入ります。

まず発症した方の乳房は赤くなり、激しく腫れます。そして乳房全体が強い痛みと熱をもちます。

さらにこれが進行してくると数日で乳腺の内部に膿を形成し、38℃以上の高熱と悪寒、関節痛、頭痛などが出てきます。

そして炎症が乳房の外に拡がると脇のリンパ節が痛みを伴って大きく腫れてしまうことがあります。

ここまで進んでしまうと普段の日常をおくることができず、赤ちゃんもいる中でお母さんも非常につらい思いをしなければなりません。できる限り早めに医療機関へ受診し治療をしていく必要があります。

治療方法

急性うっ滞性乳腺炎の場合は乳房を優しくマッサージしながら授乳を続けることで自然に回復することもあります。

もし授乳で赤ちゃんが飲み切れずに余ってしまったら搾乳をして乳房の中に乳汁が溜まらないようにしましょう。

しかしこれが急性化膿性乳腺炎になってしまった場合授乳をやめて抗生物質の点滴と解熱鎮痛薬の投与が必要になります。

これにとどまらずさらに炎症が持続して重症化してくる場合には乳腺膿瘍(乳腺の中に膿がたまった状態)、または乳輪下膿瘍になります。これを治療するためには切開をして膿を出す処置が必要になります。

ただいざ病院へ行かなきゃと決意した時いったいどの科に受診するべきかは現在一般的に掲げられている病院の診療科ではわかりにくいことが多いですよね。

そこで乳腺炎の症状がでたらまずは産婦人科に受診されることをお勧めします。

その中でもなるべく出産を扱っている産科医院を受診された方が授乳期の相談にも慣れていて良いでしょう。

そこで助産師さんなどにより授乳ケアの方法などを指導してもらうことができます。

また抗生物質の治療でも上手く改善せず切開をはじめとした処置が必要となる場合には産婦人科医師より乳腺外科へ紹介をしてもらうことができます。

乳腺炎の予防方法

忙しい育児生活を送る中で出来れば乳腺炎にはなりたくないものです。

特に授乳期の乳腺炎は毎日の母乳のあげかたに大きく左右されるところがあります。ここではその予防策として日常生活の中でできることをいくつか挙げていきたいと思います。

授乳方法の改善

赤ちゃんに授乳をさせる時にいつも片方のおっぱいばかりや同じような抱き方で授乳させたりしていませんか?

授乳期の乳腺炎の最も大きな原因は母乳が乳腺内に残り溜まってしまうことです。

授乳と乳腺炎の関係性は深く、適度な量の授乳とまんべんなく乳腺全体からの母乳の排出をすることで予防できます。

乳腺は乳首を中心に放射状に広がっていているため同じ抱き方で授乳していると乳腺のある部分からの母乳のみが吸われて、一部の乳腺内に母乳が残り、まんべんなく出きらない時があります。

そうなると残った母乳によって乳腺が詰まりやすくなってしまいます。

例えば授乳時の一番典型的な赤ちゃんの抱き方は横抱きですが縦抱き(赤ちゃんと正面に向かい合って授乳する方法)やフットボール抱き(ラグビーボールを抱えるように抱く)のようなやり方もあります。

毎回やり方を変えなくても1日のうち2回くらいは方向を変えてみると良いかもしいれません。

また片方だけでなく両方のおっぱいからまんべんなくあげられるように意識して授乳していくのが良いでしょう。

ただし授乳回数を増やすと逆におっぱいに刺激がはいって、より多くの母乳が作られてしまうので回数は増やさずに1回の授乳で左右のおっぱいからしっかりと授乳するようにしましょう。

ブラジャーをゆるめにすること。

下着は程よいサイズ感が最も大切です。締め付けすぎると母乳がうっ滞しやすくなりますし、緩すぎても動きでおっぱいが揺られて刺激になってしまうことがあります。

最近ではノンワイヤーのものやカップ入りのキャミソールなども多く販売されていますから授乳中は自分の体形に合う程よいものを探してみましょう。

食事に注意すること

残念ながら食事と乳腺炎の関係に医学的な根拠があるわけではありません。

しかし全く関係がないと言い切れるものでもありません。

母乳はもともとは母親の血液からつくられるものでありひょっとしたら普段摂取しているものに対して少し気を付けることで乳腺炎の可能性を減らすことに役立っているのかもしれません。

特にチーズ、バター、生クリーム、チョコレート、カレーなどに含まれるラードを食べた後に乳腺のつまりが起こる人多いとも言われています。

産婦人科及び助産院へ受診、相談する

自宅で自分で行うケアも大切ですがうまくいかずにおっぱいの張りなどが酷い場合には早めに一度出産をうけおっている産婦人科や助産院へ相談することも予防の一つです。

そこで母乳マッサージをしてもらったり、そのやり方を教えてもらうだけでも大きくその後経過が違ってくるでしょう。

まとめ

以上今回は乳腺炎に関してその病態や症状、予防方法、治療を含めた対処方法を解説させていただきました。

授乳期は赤ちゃんの成長も目覚ましく、毎日のその成長が喜ばしくもあり、また戸惑いで不安になる時もあると思います。

その中で出産をきっかけにした自分の体調の変化に対応しながら、一生懸命赤ちゃんの世話をしているところで乳腺炎を発症することは出来れば避けたいものです。

乳腺炎は軽症から重症まで含めると出産後のママの約25%程度の方に発症すると言われています。

たとえどんなにすばらしいケアを自分で行っていたとしても発症する時はしてしまうくらい一般的な疾患です。

そのため乳腺炎になってしまったこと自体は悪いことではなくその時はできる限り早く症状を感じ取り、産婦人科や助産院をはじめとした医療機関に相談するように心がけましょう。

今回の解説で少しでも多くのママたちの不安が解消されることを願っております。