子供の口内炎の原因と予防は?【歯科医が解説】

お子さんがお口の痛みを訴える時、多くの場合その原因はむし歯です。
しかし、お子さんに「どこが痛いの?」と聞くと、お口を指差すので、むし歯かなと思って歯科医院で歯を診てもらっても、むし歯はどこにも認められず、痛みの原因が歯ではない場合があります。

このようなときは、もしかしたら口内炎ができていて、お子さんに痛みをもたらしているのかもしれません。

今回は、子どもの口内炎について解説します。

口内炎とは

口内炎になった、という話はよく耳にしますが、口内炎とはいったいどのような病気なのでしょうか。

医学的には実は、口内炎とは、書いて字のごとく、お口の中の炎症全般を指す言葉です。

ですから、むし歯や歯肉炎も、広い意味では口内炎の一種なのです。

しかし、一般的な意味での口内炎とは異なります。

今回は、お口の粘膜の表面に現れる口内炎にしぼって紹介します。

口内炎と気づく方法

2歳男の子夜泣き

乳幼児がお口の中に何らかの病気を生じて痛みを訴える場合、お口を指差して痛みを訴えます。

そんなときはまずお口の中を見てみましょう。

歯を見てみて、色や形の変化があればそれはむし歯の痛みである可能性が高いです。

いくら見てみても歯に異常がない時、もしくは痛いといって指を指している場所が一定でない時、食欲が落ちている時、熱がある時などは、歯の痛みではなく口内炎の痛みかもしれません。

お口の粘膜全体を見てみたり、「あ〜」と言わせて、喉のあたりを見てみるといいでしょう。

口内炎の原因

子どもの口内炎は、どのような原因によって生じるのでしょうか。

ウイルス感染による口内炎

子どもの場合、ウイルスが原因の口内炎が比較的よくみられます。

多いのがヘルパンギーナ、手足口病、ヘルペス歯肉口内炎です。

ヘルパンギーナ、手足口病

これらは、コクサッキーウイルスによって起こるウイルス感染症です。

コクサッキーウイルスには、いろいろなタイプがあり、それによって現れる症状に違いが生じます。

ヘルパンギーナの場合、口の奥、のどの入口付近に口内炎が生じます。発熱やのどの痛みを認めます。

手足口病の場合、のどのあたりを中心とした口内炎の他、手や足にも水ぶくれが生じます。こちらも発熱を伴います。

ヘルペス性歯肉口内炎

ヘルペス性歯肉口内炎は、ヘルペスウイルスによるウイルス感染症で、生後6ヶ月〜3歳ごろまでの乳幼児によく起こります。

発熱やのどの痛みが2〜3日ほど続いた後に、お口の粘膜や舌に小さな水疱(水ぶくれ)を生じます。

この水疱はすぐに破れ、びらんというただれたような口内炎に変わります。そして、歯肉が赤く腫れ、口臭を放つようになります。

かみ傷ややけどなどによる口内炎

『噛む』、『やけどをする』、『歯ブラシでついてしまう』など、いろいろな原因によってお口の粘膜を傷つけて、口内炎を引き起こしてしまうことがあります。

こうした口内炎は、お口の中の至る所に発生します。

なお、特に乳幼児の上顎の奥に左右対称に生じたものをベドナー・アフタといいます。

細菌感染による口内炎

お口の中には、細菌がたくさんいます。

先程述べたような粘膜の傷に細菌が感染を起こして生じる口内炎もあります。

その一例が前述したベドナー・アフタです。

ベドナー・アフタは、細菌感染を起こして、壊死を伴うびらんや潰瘍という深い傷になることがあります。発熱まで引き起こすことは稀ですが、ふれると痛みを感じます。

このように、口内炎によってできた潰瘍やびらんに細菌感染を起こし、症状が強くなることは珍しくありません。

細菌感染による口内炎は、舌・頬・唇・歯肉と、お口の中ならどこにでも発症します。

カビによる口内炎

カビによっても口内炎は生じます。

お口の中にカビがはえるというと、驚かれるかもしれませんが、カビの菌、すなわち真菌もお口の中には普通に存在しています。

通常は、お口の中に目立って現れてくることはありませんが、風邪などの病気で体力が低下すると免疫力が下がって、お口の中に拭えばすぐに剥がれる白いカスのような付着物として現れてきます。

カビによる口内炎は、頬や歯肉によく起こります。

睡眠不足

子どもはしっかりと睡眠をとることで疲れをとりのぞきます。

もし睡眠不足、つまり寝不足になると、疲れがたまってしまい、体調が悪くなる原因になります。

お口の粘膜は、2週間くらいの周期で新しい粘膜にいれかわっていきます。

体調が悪くなると、このサイクルがうまくいかなくなり、新しい粘膜が作られなくなるために口内炎が生じます。

このような口内炎は、お口の中ならどこにでも起こりえます。

ビタミン不足

ビタミンにはいろいろな種類がありますが、その中のひとつビタミンB2には皮膚や粘膜を保護する役割が、ビタミンB6には皮膚や粘膜の健康を保つ役割があります。

こうしたビタミンが不足すると、お口の粘膜を良好な状態に保つことが出来なくなります。

つまり、ビタミンが不足することも口内炎の原因になりうるのです。

ビタミン不足によって起こる口内炎は、お口の中のどこにでも生じる可能性があります。

口内炎と間違いやすい病気や症状

一見すると口内炎に似ていますが、口内炎とは全く異なる病気や症状について紹介します。

悪性腫瘍

悪性腫瘍は、大人の病気のようなイメージですが、子どもに全く起こらないわけではありません。

頻度は低いですが、子どもにも起こる可能性はゼロではないのです。

悪性腫瘍が生じると、潰瘍という傷が生じます。

悪性腫瘍の潰瘍は、深く、周囲が硬く盛り上がる独特の形をしています。そこに触れると痛みを感じます。

もし、2〜3週間以上経過しても症状が改善しない口内炎を認めたら、悪性腫瘍を疑った方がいいとされています。

ケガ

子どもは、しばしば転倒しますが、その多くの場合に顔をうちます。

これは、子どもの体格に占める頭の割合が大きいということと、転倒したときに無意識に手をつく習慣が身に付いていないことが、大きく影響しています。

顔をうったときに多いのが、お口のケガです。

子どもの転倒では、顎の骨を骨折するような大きなケガになることはほとんどありませんが、歯やお口の粘膜を傷つけるようなケガが生じます。

お口の粘膜を傷つけるようなケガをすれば、その部分の粘膜が剥がれてただれたような状態になってしまいます。

急性壊死性歯肉口内炎

体調が悪い人でかつ、歯みがき不足などお口の中の衛生状態が悪い人に起こる、お口全体に広がった口内炎です。

急性と壊死性という言葉が含まれていることからわかるように、歯肉が急速に壊死(腐る)してくるのが特徴です。

その他の症状として、発熱や口臭、痛みを伴い、食事が摂りづらくなります。

天疱瘡(てんぽそう)

天疱瘡とは、粘膜を構成している細胞間のつながりが消失して水疱を作り出す病気です。その1/3がお口の粘膜から生じるといわれています。

天疱瘡の水疱は、壊れやすく、簡単にびらんとよばれるただれた状態になります。

天疱瘡は、頬や上顎、歯肉、唇、舌に生じます。

口内炎の診療科

子どもの口内炎の治療は、歯科、小児歯科、口腔外科、小児科のいずれの診療科を受診しても大丈夫です。

ただし、歯の掃除や歯みがき指導を受けようと思った場合は、小児科ではしてもらえませんから、歯科、小児歯科、口腔外科を受診しなければなりません。

口内炎の治療

では、口内炎が生じた時、歯科医院ではどのような治療が行なわれるのでしょうか。

薬物治療

口内炎の薬物治療では、軟膏が使われます。

そのほか、口内炎に効くうがい薬を処方することもありますが、うがい薬の場合は、うがいがしっかりできる年齢になっていることが必要です。

経過観察

ヘルパンギーナや手足口病などのウイルス感染症による口内炎の場合は、経過観察になります。

歯の掃除

お口の中の不衛生が口内炎の引き金になっていることもありますので、歯みがき不足の場合などは、歯の掃除をして、お口の中の衛生状態を改善させます。

必要に応じて、歯みがき指導も行なわれます。

口内炎ができやすい生活習慣

口内炎ができやすくなる生活習慣にはどのようなものがあるのでしょうか。

夜更かし

夜遅くまで起きていたからといって、朝寝坊していいわけではありません。

学校や幼稚園、保育園に行く時間は決まっていますから、毎朝決まった時間に起きなければなりません。

つまり、夜更かしした分、睡眠時間が短くなるのです。

睡眠時間が短くなることで、日中の疲れが十分に回復できなくなりますので、口内炎も引き起こしやすくなります。

朝食を食べない

朝食を食べない習慣もよくないです。

朝食を食べない場合、夕食を食べてから昼食を食べるまで場合によっては18時間近く食事をとらなくなってしまいます。

この間、身体は栄養不足の状態に陥ります。

身体に長時間の栄養不足をもたらす朝食を食べない習慣は、口内炎にとっても良くない習慣なのです。

歯みがきしない

歯みがきを嫌がる子どもは多いです。

歯みがきを嫌がるからといって、もしくは親御さんが忙しいからという理由で、子どもにきちんと歯みがきさせないのは、よくないです。

親御さんは食事の後に歯を磨くわけですから、子どもにもそうするように躾ける必要があることは論をまちません。

歯みがきをしないと、お口の中は細菌だらけになります。むし歯や歯肉炎だけでなく、口内炎になるリスクも高まってきます。

歯みがきをきちんとしない生活習慣は、口内炎のリスクを高めてしまいます。

口呼吸

呼吸は、本来鼻からするものです。しかし、鼻ではなく口で呼吸する癖がついている子どもがいます。

これを口呼吸といいます。

お口の中は、本来唾液でうるおっているところなので、皮膚とは異なり乾燥にはたいへん弱いところです。

ところが、口呼吸をしていると、お口の中が乾燥してしまいます。

お口の粘膜は乾燥に弱いので、乾燥状態になると容易に傷ついてしまううえに、傷の治りも悪くなります。

口呼吸は、口内炎を起こしやすくなる習慣といえます。

口内炎の予防方法

では、口内炎の予防方法について紹介します。

規則正しい生活をおくる

睡眠不足が体力の回復を邪魔してしまうことによって口内炎を引き起こすことは前述しました。子どもに早寝早起きで十分な睡眠時間を確保するようにさせてください。

睡眠不足はあくまでも一例です。

日常生活で規則正しい生活をおくることが、体力の回復を促し、健康な身体を作る第一歩になります。

こうして、体調を整え口内炎を予防しましょう。

栄養をきちんととる

ビタミン不足が口内炎を引き起こすことは前述しました。

ビタミンだけでなく、栄養がきちんと取れていなければ、お口の新しい粘膜の生成がうまくいかなくなります。

好き嫌いなく食事をとり、栄養バランスの偏りが生じないようにすることは、体調管理にとってとても大切です。

ウイルス感染症やカビは、体調が悪くなると起こります。口内炎を防ぐためには、栄養をきちんと摂って体調をきちんと整えていることも重要といえます。

お口をきれいにする

歯みがきをきちんとすることも口内炎を予防するための大切なポイントです。

歯みがき不足になると、歯の表面に白いカスのようなものがついてきます。これがプラークとよばれるもので、その正体は細菌の塊で、むし歯菌や歯周病菌もこの中にいます。

プラークがたくさんついてくると、むし歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、口内炎のリスクも高くなります。

毎食後に歯をきれいに磨く習慣を身につけさせるようにしてください。

鼻づまりを治す

子どもが口呼吸をしている場合、その原因の多くはひどい鼻づまりです。

鼻づまりなど鼻炎を生じている場合は、耳鼻咽喉科で診察してもらい、適切な治療を受けるようにしましょう。

まとめ

大人と同じく、子どもも口内炎をおこします。

口内炎の原因は、かみ傷、やけど、ウイルス感染症などいろいろありますが、症状に応じた治療を受ける必要があります。

そこで、おすすめするのが歯科、小児歯科、小児科です。これらの診療科であれば、診療してもらえます。

口内炎を治療するのも大切ですが、最も大切なのは口内炎にならないようにすることです。

そこで、栄養や体調に注意し、規則正しい生活、毎食後の歯みがきなどを習慣付け、口内炎になりにくい身体をつくっていきましょう。